本構想は、品川駅南推進協が品川駅南地域を未来の子ども達に残せる街とするため、目指すべきまちづくりの方向性についてまとめたものです。
1.はじめに
「品川駅南地域の未来を創る推進協議会(以下、協議会)」は、北品川及び東品川を中心とした「品川駅南 地域」の地域特性を活かした街の将来像を提案し、自らその実現を目指し、魅力あるまちづくりを推進することを目的に、まちづくりに関わる様々な関係者により、平成22 年10 月に設立されました。協議会では、品川駅近接の立地や、旧東海道品川宿の歴史・文化、天王洲運河や目黒川等が存する地域特性を踏まえた街の将来像について検討を進めており、2012 年(平成24 年)5 月に、「品川駅南地域 まちづくり構想」として、街の将来像や、その実現に向けた重点事項について取りまとめました。 協議会は本構想を基本とし、将来像の実現に向けて現在も継続して活動しており、平成24 年度に品川区が策定した「品川区まちづくりマスタープラン」や、策定中の「品川駅南地域まちづくりビジョン」に、本構想を地域のまちづくりの方向性として提案しております。この「品川駅南地域 まちづくり構想 概要」は、上記の「品川駅南地域 まちづくり構想」について、地域の方々に広く知っていただくため、その内容の概略についてまとめたものです。
2.地域のポテンシャルと課題
品川駅南地域は、長年取り組まれてきたまちづくり活動の蓄積をはじめ、歴史・文化、自然環境、人・組織など、まちづくりを進めるにあたっての高いポテンシャルを有しています。一方で、ソフト・ハードの両面で解決すべき地域の課題がいくつか挙げられます。協議会では、これらの状況を整理し、品川駅南地域に相応しい街の将来像を検討致しました。
3.目標とする市街地将来像
今後のまちづくりを進めるにあたっての共通指針となる「市街地将来像」や、それをより具体的に示した「目標とする5つの街」を定めました。また、これら将来像の実現に向けた基本戦略を定めました。
※裏面に、下記を踏まえた地域全体の市街地将来像を掲載しております。
【市街地将来像】
東京サウスゲートの南端を担い、御殿山や目黒川といった起伏豊かな地形の中で、歴史ある街の風情や伝統を継承しながら、品川駅の南の玄関口として新たな拠点形成を図り、多様な人々が訪れ、働き、楽しみ、憩い、暮らす街【目標とする5つの街】
- 1. 品川駅の南の玄関口として相応しい拠点性と賑わいを兼ね備えた街
- 羽田空港の国際化や品川駅のターミナル機能の強化を受け、品川駅への国内外から来街者を迎え入れる南の玄関口(新たな品川宿)として、地域のグローバル化に対応した業務・商業・観光・宿泊・交流・居住など、多様な都市機能の導入・強化を図り、国際性豊かな多様な人々で賑わう街を目指します。
- 2. 旧東海道品川宿の伝統や文化と、新しく創り出されるものとが共存し合う街
- 歴史ある街の風情や伝統など、地域のローカルな資産を生かしたまちづくりをより一層推進すると共に、「古き良きもの」と「新しいもの」とが共存し、地域の魅力として相乗効果を生み出すような街並み・景観づくり等に取り組み、老若男女、様々な世代が訪れ、楽しめる街を目指します。
- 3. 多彩な表情を持った水辺に親しむ街
- 地域の3方向を水辺に囲まれる地域特性を生かし、各水辺の特徴に応じた機能強化を図りながら「にぎわい」や「憩い」、「交流」といった様々な表情を創出し、水辺の魅力を高めていきます。併せて、水辺へのアクセス強化や歩行者ネットワークの拡充を図り、暮らしの中で水辺がより身近な存在として、地域に親しまれる街を目指します。
- 4. 子どもからお年寄りまで、誰もが安心して快適に暮らし続けられる街
- 御殿山・権現山等の山の手の住宅地では良好な生活環境が確保されている一方で、品川宿や猟師町では建物密集度が高く、細街路も多いため、生活上・防災上課題となる地域が残されています。これらの課題解決に取り組み、生活環境や防災機能の向上を図ることで、居住者が安心して快適に暮らし続けられる街を目指します。
- 5. 多様な主体の参画・協働により、持続的に発展する街
- 大きな街づくりを達成する上では、行政・民間企業・商店主・NPO・地元住民など多様な主体の参画が必要であり、それらが協働することで新たな付加価値を創出できます。そのため、より良いまちづくりを進めるための推進体制の構築を図ると共に、地域のエリアマネジメントを見据えた体制づくりに取り組み、地域の価値が維持・発展する街を目指します。
【将来像の実現に向けた基本戦略】
- ① 地域活力に繋がる新たな拠点づくり
- ② 地域特性を活かした賑わいと回遊性づくり
- ③ 多様な世帯の都心居住を推進する住まいづくり
- ④ 生活環境を高める基盤(道路・公園・緑地・水辺等)づくり
- ⑤ 災害に強い安全・安心なまちづくり
- ⑥ まちづくりを推進する体制づくり
まちの核となる「都市拠点」として、北品川駅周辺の「品川駅南地域中心拠点」、新馬場駅周辺の「日常生活拠点」を指定し、地域の中心的な市街地として拠点性を高めます。また、品川浦、天王洲運河、目黒川を「水辺の拠点」とし、 地域特性に合わせた魅力ある水辺空間を創出します。軸として「歴史・水・緑」からなる3つの「都市軸」の形成を図り、地域内の回遊性を高めます。 土地利用・ゾーニングについては、品川駅に近接する地域では、リニア中央新幹線品川駅南口の誘致を見据え、国際性豊かな高質の都市機能が集積する複合市街地の形成を図ります。 また、周辺地域では、旧東海道を中心とした「品川宿ゾーン」、目黒川沿いの「地域生活ゾーン」を始め、地域特性を踏まえた土地利用を誘導していきます。